CLILという言葉を知った方の中には、「CLILとは何なのか」「CLILのメリットにはどんなものがあるのか」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、CLILとはそもそも何なのか、CLILのメリットなどをご紹介します。
CLILについて全く知らない方にも分かりやすいように解説していますので、安心して読み進めてください。
CLILとは何なのかを理解して、CLILの学習方法を活用してみましょう。
CLIL(クリル)とは、「Content and Language Integrated Learning(内容言語統合型学習)」のことです。
教科科目やテーマの内容(content)の学習と、外国語(language)の学習を組み合わせた学習法で、英語の効果的な学習方法として注目を集めています。
CLIL最大の特徴は、ただの英語学習にとどまらず、以下で紹介する4つのCを統合した学びができる点にあります。
CLILは、英語で英語以外のコンテンツを学ぶ学習メソッドです。
「content」とは何らかのテーマ(時事問題、異文化理解など)や教科科目(数学・理科・社会・音楽・体育・家庭など)を学ぶ「学習内容」を指します。
そして上記の内容を、英語を使って学んでいくことにより、知識の定着と英語力の向上につながります。
授業ではインプットとアウトプットの両方を重視しているので、英語の4技能「読む・聞く・書く・話す」をバランスよく習得できます。
CLILを用いることで、日本の英語教育の課題であるスピーキングやライティングといった発信力を高めることが期待されています。
CLILでは、知識のインプットにとどまらず、その知識を結び付けたり、批判的に思考することも重要視されています。
そのため、さまざまな思考力を活用し、複数の知能に働きかけながら学習ができます。
文法学習や単語の暗記を重視した授業と比較すると、生徒の記憶に強く残り、学習内容の定着につながりやすいと考えられています。
CLILでは、学習内容に積極的に異文化理解や国際問題の要素を取り入れています。
そうすることで自然に異文化意識が育ち、国際社会に参加する動機が生まれると考えられています。
CLILでは、以下で紹介する10の原則を満たすような授業を行うことで、上記4つのCを学習効果として実感できます。
後述しますが、高い思考力や協調性、バランスの取れた英語力など、従来の英語教育では身に着けづらいスキルを身に着けることが可能です。
CLIL とは、英語を使って科目やテーマなどを学ぶメソッド
高い思考力を必要とする
協同活動が重視される
ここでは、CLILの授業が実際にどのような流れで進んでいくのかをご紹介します。
一般的には、主に以下の4ステップで授業を進めます。
授業の導入部分であり、生徒の興味を引き付けたり、学習の目当ての整理などを行います。
具体的には、写真や動画を見ながらのクイズや初めて学ぶ語句などの説明といったものがあげられます。
内容に関するまとまった量の英文を読み、授業のテーマの内容を理解します。
Q&Aを行ったり、音声・数字・視覚情報を使用することでより、理解が深まりやすくなります。
理解した内容に対して、分析や評価といった活動を行います。
グループで話し合いをしたり、ワークシートを使った課題をこなすことによって生徒がテーマについて自ら考え、自分の主張を確立していきます。
学習のまとめとして、自分の意見を「話すこと」や「書くこと」によって発表します。
自分の気づきや、考えを説明する練習として非常に効果的です。
CLILを使って学習することで得られるメリット4つをご紹介します。
これまでの英語学習では、反復学習をメインに行っており、暗記を重視した学習で作業的な部分があり、生徒のやる気を引き出すことが難しいとされてきました。
CLILでは、英語に限らず社会や理科などの他教科や異文化理解、時事問題など幅広いトピックを扱います。
そのため、生徒の興味が持続しやすく、語学学習のモチベーションが維持されやすいとされています。
例えば、英語が苦手な方でも、自分の好きな教科や内容の学習なら進んで取り組めるでしょう。
新聞や雑誌、テレビ番組、映画といった身近なものを題材にしている点も生徒の積極的な学習参加につながるといわれています。
また、異文化理解や国際理解を深めることで、自ら進んで学習に取り組む姿勢を育む統合的動機を生み出すことも出来ます。
グローバル化の進展によって、ただ英語の知識を持っているだけでなく、それらを使いこなす必要性が増加しています。
CLILでは、1つのテーマについて学ぶ中で、「聞く・話す・読む・書く」をバランスよく使うので、英語の4技能をしっかりと伸ばすことができます。
その結果、これまでの日本の英語教育の課題だった、スピーキング・ライティングの能力もバランスよく伸ばすことが可能です。
また、従来の文法学習や単語学習には正確性にこだわり、生徒の間違いを恐れて発言(アウトプット)を行わないという傾向がありました。
しかし、外側だけでなく言語理解などの中身をしっかりと学ぶことで、本質的な学習を実現しています。
従来の日本の英語教育は、文法や単語などの知識のインプットが中心でした。
しかし、CLILでは英語を使ったレポート作成やプレゼンテーション、ディスカッションなど、覚えた知識を様々な形でアウトプットする機会が多分に用意されています。
それらの授業をとおして、上記のような幅広い思考力(暗記、理解、応用、分析、評価、創造)が刺激されるため、知識の定着が早まるでしょう。
これらは科学的な知見にも基づいており、1つの事だけでなく複数の事象を繋げることで、より記憶に定着しやすくなります。
CLIOの授業には、異文化理解や国際問題といったテーマが良く取り入れられます。
これにより、自然に生徒の中に異文化意識が育ち、国際社会との接点を持つことができます。
さらに、異文化理解は国際社会への参加意欲の向上へつながり、それが言語習得のモチベーションになる、という好循環を生み出します。
日本では異文化との交流が欧米などに比べて少ない傾向にあるため、意識的に異文化との交流を図る必要があります。
インプット→アウトプットで記憶に定着する学習
興味のあるトピックを学べるのでモチベーションを維持しやすい
国際社会への接点を持つことが英語学習の動機につながる
CLILは、EUの統合を受けて1994年からヨーロッパで導入が始まりました。
実際にイタリアやフランスなどでも小学校の授業で取り入れられ、言語学習の効果をあげています。
日本の英語教育にCLILはどのくらい導入されているのでしょうか?
2020年に始まった新学習指導要領によって小学校からの英語教育が始まり、CLILを導入する必要性も訴えられています。
しかしながら、教師への負担が大きいなどといった課題点も多く、公立の学校での実践はあまり進んでいないというのが現状です。
上述の理由から、CLILはどこでも受けられるわけではない点に注意しましょう。
小学生が英語で教科を学ぶ場合、私立のインターナショナルスクール、または学校外の講座といった選択肢に限られています。
しかし、日本ではCLILを用いた授業実践が近年になって始まり、現在は文部科学省もCLILの有効性を主張しています。
このようにCLILが注目されるのには、主に3つの理由があります。
CLILを取り入れた学習では、インプットだけでなく自分の意見をまとめ、主張するというアウトプットの場面が数多くあります。
また、クラスに自分の意見を共有し、さらにディスカッションを行う場合もあります。
これによって、日本人が苦手になりがちな「自分の意見の主張」「意見交換」といったコミュニケーション能力を効果的に伸ばすことが可能です。
近年の文部科学省が行う英語教育の改革の大きな目的は、小学校から大学までの英語教育に共通して、「英語を使う力・英語でコミュニケーションを取る力を伸ばす」ことです。
従来の日本の英語教育でも、コミュニケーション能力の育成は言われてきましたが、実際の授業内では形式的なもののみになりがちでした。
それゆえに、意見の主張・交換などといったコミュニケーションを積極的に行う授業を可能にするCLILの授業が脚光を浴びているのです。
前述のとおり、CLILは英語で科目やテーマを学ぶという形をとっているので、様々な授業に柔軟に取り入れることができるといわれています。
ある研究では小学校段階で、社会科、道徳、家庭科、国語、算数、理科と英語をそれぞれ統合したCLILの授業を実践し、CLILを取り入れなかった授業と比較しました。
その結果、CLILを取り入れた授業では、児童の学習意欲向上、コミュニケーション活動促進、思考活動の促進、協同学習の質の向上、国際理解の深まりを促進する可能性が高いという研究結果が出ています。
ヨーロッパの非英語圏でも導入されており、効果を挙げている
日本でCLILを受けられる場所はまだ少ない
日本人が苦手な「自分の意見を主張する力」がつく
コミュニケーションのための英語を学べるCLILですが、題材は学校の科目だけでなく、スポーツなどの趣味に関する分野まで、多岐にわたります。
ここからは、そんなCLILメソッドで学べる場所をご紹介していきます。
ECCジュニアは大手の英会話教室では唯一、CLILを取り入れた授業を実施しています。
スポーツや娯楽、植物など子供が興味を持ちやすいトピックを取り扱っています。
他のクラスメイトと意見交換する機会も数多く設けられており、幼いうちからロジカルなスピーキング力が身に付くでしょう。
スポーツ好きのお子様におすすめなのが「グローバルアスリート」です。
こちらは、サッカーやチアリーディングなどの競技を通して楽しく英語を身に着けられる画期的なサービスです。
身に着けられる英語は、スポーツの場でのみ使えるものではなく、日常生活に欠かせない実用的なものなので安心です。
身体を動かしながらの学習になるので、机に向かって学習するよりも知識の定着が促進されるでしょう。
ビジネス目的でCLILを学ぶ方は「UMass MBA プログラム」がおすすめです。
こちらは、米国マサチューセッツ州立大学ローウェル校の経営学修士(MBA)学位をオンラインで取得できるプログラムです。
授業では、知識のアウトプットにとどまらず、豊富なケーススタディによって、実用的なビジネススキルと英語力の両面を鍛えます。
また、世界各国の人材とともに授業を受けるので、オンラインながら留学と遜色ないグローバルな知見が身に付くでしょう。
「MOOC」は、世界各国の名門大学や有名研究機関の講義がスマホ一つで原則無料にて受けられるサービスです。
扱うトピックは、アート、ビジネス、健康と科学、社会科学など幅広いので、ご自身が興味を持った講義から受けるとよいでしょう。
講義の難易度も、入門レベルから専門的なレベルまで対応しているので、あらゆる層の方々に利用されています。
この記事では、CLILの理論や効果、日本で注目される理由についてまとめました。
CLILの特徴として、以下のような点があげられます。
まだまだ日本では新しい試みではありますが、日本人の英語力を伸ばす方法として期待が高まっています。
「CLIL」に関してよくある質問を集めました。
授業の導入部分で語句の説明をしたり、音声・数字・視覚情報を提供することで、授業の内容の理解が深めるような流れが組まれています。直接英語を学ぶのではなく、様々な題材を英語で学ぶため、英語を使うことへの緊張が和らぎコミュニケーション量が増加すると言われています。
CLILは子どもの英語学習のためだけではありません。実は大人の英語学習にも効果的です。むしろ子どもより大人の方が、興味のある分野を明確にわかっている分、より自分にあった講座を通して英語力をアップさせることができる可能性があります。